シナリオ設計のポイント

Flipdeskデスクを運用していく上での、全体設計や振り返りについて説明します。

  1. シナリオの全体設計:シナリオを追加していく上で注意すべきポイントや、web接客の基本的な考え方を理解し、その考え方を基にどうシナリオを設計していくかを説明します。
  2. ロードマップ:Flipdeskの利用フェーズを説明します。
  3. 運用の振り返り:Flipdesk運用のためのシナリオ全体設計とロードマップが決まったら、シナリオの効果の振り返りを行いながら運用をしていきます。

1. シナリオの全体設計

  • web接客の基本的な考え方

    web接客において重要なことは、お店での接客と大きく変わりません。
    ユーザーに動いてもらうための「動機づけ」と「手段の提供」を意識したシナリオ設計が重要です。
    • 動機づけとは

      商品の購入や申込の際、「不安感」よりも「期待感」が上回っていればユーザーは安心してコンバージョンしやすくなります。不安を低減させる目的の「不安払拭シナリオ」と、購入意欲を向上させる「意欲向上シナリオ」を作成することで、コンバージョンの動機づけを行います。

    • 手段の提供とは

      サイト流入からコンバージョンまでのフローを考えると、目当ての商品が見つからず途中離脱につながってしまう等、スムーズにいく場合はそう多くありません。このコンバージョンまでのフローをスムーズにするための手段として、商品検索のサポートをおこなう「回遊促進・情報提供シナリオ」や、適切に商品を推奨することで探す手間を省く「手間削減・離脱防止シナリオ」を設置します。

  • シナリオの分類

    上記の考え方に基づいてシナリオを分類すると以下の4つに分類されます。
    シナリオの全体設計を行う際は、以下のどれか1つに偏り過ぎないようバランスよくシナリオを設置し、ユーザーの購買体験をサポートします。
    • 意欲向上シナリオ

      ex)セール情報案内、クーポン案内

    • 不安払拭シナリオ

      ex)よくある質問案内、お客様の声・レビュー案内

    • 回遊促進・情報提供シナリオ

      ex)アップセル・クロスセル案内、在庫情報案内

    • 手間削減・離脱防止シナリオ

      ex)人気ワード案内

  • シナリオの評価

    上記4種類に分けられたシナリオは、それぞれ異なる役割を担っているため、同じ指標で効果を測ることはできません。
    上記4種類を「1.コンバージョン目的のシナリオ」と「2.コンバージョン目的以外のシナリオ」に分けて評価します。詳しくは「運用の振り返り」を参照してください。
  • ユーザー導線に合わせたシナリオ配置

    縦軸をユーザー属性、横軸にユーザー導線を配置しこのように考えます。

 

2. ロードマップ

Flipdeskはタグが設置されてからユーザーの行動データを収集し始めるため、導入初期からすべての施策を実施することはできません。

Flipdeskの利用フェーズを「1.データ蓄積期」と「2.データ活用期」に分け、それぞれのフェーズで実施できる内容を説明します。

  • データ蓄積期

期間 タグ設置から1〜2か月間
施策内容

ユーザーの行動データが少ない時期なので、過去の訪問履歴や購入履歴、閲覧履歴のデータを十分に活用することができません。

この時期は、訪問中のユーザーがどのページを見ているか、訪問内での閲覧ページ数は何ページかといった、現在の訪問内の情報を基にターゲティングできるシナリオを中心に設置します。

  • データ活用期

期間 タグ設置から3か月以上経過
施策内容 タグ設置から3か月目に入ると、ユーザーの過去の行動履歴データも十分に蓄積されている時期なので、過去の訪問履歴や購入履歴、閲覧履歴などの配信条件を使ったシナリオを徐々に追加していきます。

 

3. 運用の振り返り

シナリオの適切な振り返りのためには、以下の2つのポイントを意識する必要があります。

    1. シナリオの振り返り期間の設定
    2. シナリオの目的に沿った指標設定
  • シナリオの振り返り期間の設定

    シナリオの効果の良し悪しを判定するためには、一定の配信回数が必要になります。統計的有意差が出るまで配信を続けることが理想ですが、高速な改善サイクルを回すために、サイトごとに適切な最低配信数を予め決める必要があります。
    必要な配信数が決まれば、その数を配信するために必要な日数を振り返りの期間に設定し、以下の流れでシナリオの改善サイクルを実行します。
      1. 期間内はシナリオの設定を変更せずに配信
      2. 期間終了後、レポート画面で実績を確認
      3. シナリオの良し悪しを判断し、シナリオの改善案を決定・設定
      4. 改善したシナリオを再度配信

全シナリオの振り返りをまとめて行うと効率的なので、1週間、2週間、1カ月など、サイト規模に応じた振り返り期間を決めてのFlipdeskの運用サイクル構築を提案します。

  • シナリオの目的に沿った指標設定

    Flipdeskのシナリオは自由度が高く、多様な使い方が可能です。そのため、シナリオの目的を明確に定めないと、そのシナリオの効果を正確に測ることが出来ません。Flipdeskではシナリオの目的を大きく以下の2つに分けて効果を測ることを推奨します。
    • コンバージョン目的のシナリオ

      コンバージョン目的のシナリオについては、基本的にシナリオABテストを活用して配信グループと非配信グループのCVRの差を確認します。非配信グループに比べて10~20%ほど上昇している状態が効果が良いシナリオの目安です。下回っている場合は仮説を立て、改善施策実施が必要になります。
      ※数字は目安なので、サイトに応じたCVRの上昇率設定が必要です。
      • シナリオ改善例):
        初訪問ユーザーにTOPページで新着商品一覧に誘導するシナリオを実施したが、CVRは非配信グループより低い結果になった。誘導先の商品のCVRが低いという仮説のもと、誘導先をセール商品一覧に変更を実施。

        ※ここではコンバージョンを、コンバージョンタグを用いて計測している成果地点としています。購入完了や会員登録完了など、サイト毎の最重要指標を想定しています。
    • コンバージョン目的以外のシナリオ

      コンバージョンを目指すシナリオ以外にも、Flipdeskで実施すべきシナリオは多数あります。開催中のキャンペーンを案内・誘導するシナリオ、ユーザーの不安を払拭するシナリオ、有益な情報を提供するシナリオ、サイト内の回遊を促進するシナリオなど、サイト内の課題を解決するシナリオは多く考えられます。各目的に応じた指標と目標値を設定し、効果の良し悪しを判断します。
シナリオ例 指標
回遊中のユーザーに情報提供を行うシナリオ 表示回数
クリック率
離脱率が高いページでの離脱防止のシナリオ クリック率
クリックスルー率
サイト内のコンテンツ間の回遊を促進するシナリオ クリック率